「そろそろ片付けないと」と思いながらも、なかなか手がつけられない。60代以上の半数以上が生前整理を実施または予定している一方で、実際に遺品整理を経験した遺族の約85%が「生前整理は不十分だった」と感じているというデータがあります。
多くの方が直面するのは、どこから手をつければいいかわからないという問題です。一気に片付けようとして疲れてしまい、結局中断してしまう。そんな悪循環を断ち切るのが、今回ご紹介する「場所固定」による生前整理の進め方です。
この方法なら、60代の体力でも無理なく継続でき、確実に前進できます。
もくじ
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「場所固定×1日30分」が60代に最適な理由
従来の生前整理は「週末にまとめて」「部屋ごとに一気に」というイメージがありました。しかし、この方法には大きな落とし穴があります。
長時間の作業は体力的な負担が大きく、判断を繰り返すことで疲労が蓄積します。一般的に、高齢期は集中力の持続時間が短くなるため、毎日同じ場所を30分だけ進める方式が現実的です。
場所を固定するメリットは明確です。対象を限定することで意思決定の負担が減り、「今日はここだけ」という達成感も得やすくなります。
例えば、1日30分を週5回、半年間続けるだけで約60時間の作業時間を確保できます。これは週末に数時間ずつ取り組むよりも、はるかに継続しやすい計算です。
具体的な進め方|どこから始めればいい?
優先すべきは「安全な動線」づくり
最初に手をつけるべき場所は、転倒リスクの高い動線上です。廊下や階段近くに置かれた物、玄関周辺の段差になりやすい物から着手しましょう。
医療機関の報告によると、高齢期は転倒によるケガのリスクが高まります。安全確保は生前整理の副次的効果ではなく、最優先事項です。
30分で完結する単位に区切る
次に重要なのは、作業範囲の設定です。
- 引き出し1つ
- 棚1段
- クローゼットの一角
このように、30分で完全に片付けられる物量に限定してください。「中途半端で終わる」状態は、次回の着手意欲を下げてしまいます。
ただし、写真や手紙など思い出の品は例外です。これらは感情的な判断が必要で時間がかかるため、別枠で時間を設けるのが賢明です。
判断基準を事前に決めておく
作業中に「これは捨てるべきか」と毎回悩んでいては、30分があっという間に過ぎます。
事前に以下のようなルールを可視化しておくと、判断負担が大幅に軽減されます。
- 残すもの(1年以内に使った物、代替不可能な思い出の品、重要書類)
- 処分を検討(2年以上使っていない物、同じ用途の物が複数ある、劣化している物)
このルールは家族と共有しておくと、後々のトラブル防止にもなります。
続けるための3つのコツ
記録をつける
日付と「今日片付けた場所」を簡単にメモするだけで、進捗が可視化されます。達成感が次のモチベーションにつながります。
高所・重量物は無理しない
脚立を使う作業や、重い段ボールの移動は転倒・骨折のリスクが高まります。こうした作業は家族や専門業者に依頼することも選択肢です。
完璧を目指さない
「全部片付けなければ」と考えると重荷になります。今できる範囲を確実に進めることが、長期的には最も効果的です。
業者依頼との使い分け
生前整理関連の市場は拡大しており、専門業者も増えています。大量の不用品処分や、物理的に困難な作業は業者の力を借りるのも一つの方法です。
ただし、費用はワンルームで数万円から、戸建てでは数十万円以上かかる場合もあります。見積もりの透明性や許認可の確認は必須です。
自力で毎日30分ずつ進め、本当に必要な部分だけ業者に依頼する「複合型」が、費用面でも精神面でも負担が少ないでしょう。
まとめ:60代の今こそ、小さく始める
生前整理は「いつか一気に」ではなく、60代の体力があるうちに少しずつが正解です。
場所を固定し、1日30分だけ。これを習慣化すれば、半年後には目に見える変化が生まれます。転倒リスクも減り、住環境のストレスも軽減されます。
何より、自分のペースで進められるという安心感が、継続の鍵です。明日から、まずは玄関の靴箱から始めてみませんか。

